冬を感じた。

 

 朝、愛車のタイヤを冬用に交換する。

軍手の外から染み入ってくる冷たさはもう冬だと思いながら、ジャッキで車体をあげてタイヤを外していく。

 

 年月や季節を感じることのできる感覚というものが、自分の中にどのくらいあるものだろうと思う。農業を営んでいるひとや、毎日木々に触れるひとは、その手の先にあるものたちからきっと教えてもらえるのだろう。テレビを毎日つけて、日々のニュースに敏感なひとは、その耳から時節の情報などを得ることはできるのだろう。日々の中にある確かな変化に気づけるように、感覚を研ぎ澄ませたいと思いながら、暖房を点ける手に躊躇いはない。

 

 と、そんなことを考えたのはパワーズの『オーバーストーリー』を図書館で借りてきて、その始めの数ページを読んだから。そこには木の年月についての描写があった。『白鯨』を読み進めたい気持ちもありつつ、返す期限のある『オーバーストーリー』を優先して読んでいくことになるかと思う。装丁がよくて手に入れたい気持ちはやまやまだが、値段が値段なので読み終えてから購入を検討することにしようと思う。